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読書感想文「未来に先回りする思考法」

「未来に先回りする思考」 佐藤航陽 著

 

株式会社メタップス代表取締役の著者が、自身の経験をもとにしながら世の中の趨勢を見極めるには何が大切かを書いている本書。

テクノロジーの本質から始まり、モノや仕組みが生まれるきっかけとなる必要性「原理)を考えることの大切さ、意思決定するにはなにが大事かを筆者独特の多角的な視点から分析している。

要点まとめ

①テクノロジーについて

テクノロジーとは、古くは石器から始まり、現代ではスマホやAIなど様々あるが、すべては人間の機能拡張であり、その発展には一種の決められた流れがある。

新しいテクノロジーの登場を点としてしか捉えられない人にその流れを読むことは難しいが、線としてとらえている人々(巨大テクノロジー企業)にとっては、各社とも見ている未来は同じである。

そしてそこで成功するためには、先を見通すだけではなく、社会がそのテクノロジーを受け入れる土壌ができたかを見極めるタイミングが非常に重要となる。

 

②原理から考える

原理とは、テクノロジーの発展、社会の仕組みはすべて「必要性」から生まれるものであるというもの。先を見通すためには、すべてをこの原理に立ち返って考える必要がある。

 

③未来に先回りする意思決定方法

常に原理から考え、色々と試してみて自分で世の中のパターンを見つける。

そしてたとえ今納得感がなくとも、パターンを信じて行動する。

なぜなら今持っている考えは、現在の状況によるものでしかなく、未来を予見するために必ずしも有用ではないから。

ロジカルシンキングも同様で、一見ロジカルに見える意見も、限られた情報の上に立脚したものでしかなく、それが正しいとは限らない。

 

感想

テクノロジーや社会の仕組み、そして今後どう変わっていくかについて、ITを軸に幅広く取り上げており、仕事柄なるほどと思えることも多く面白かった。

全体を通して、筆者の未来に先回りするための観点が淡々と描かれているイメージだったが、最後の数ページで、人の存在意義、行動することの大切さについて語っており、若くして企業した著者の苦労や情熱がにじみ出ていたのが印象的だった。

ものすごく特異なことを言っているわけではないが、ビジネスに関わる人ならば、原点に立ち返り、更に新しい気づきを得ることができる良書ではないかと思う。